研究課題
本研究では、宇宙プラズマ粒子の基本加速機構の研究とジオスペース環境科学の両面で必須となるプラズマ粒子・波動計測手法の研究開発を行い、今後の国内外の直接探査衛星計画に適用されるプラズマ粒子センサーと波動-粒子相互作用解析装置の具体的な製作・試験を遂行する。この基盤となるのが、昨今、我々が主導的役割を果たすことで着実に革新されつつある最先端の計測技術と構築中の較正地上実験装置の整備・改良である。昨年度に立教大学から東大の新規クリーンルームに移転させたプラズマ粒子センサー較正用装置イオンビームラインの最終整備を行った。特に、電子ビーム特性改良、真空槽内センサー回転制御系の1軸追加整備を実施した。最近承認された日本独自のジオスペース探査衛星(ERG)計画に向けて、5keV以上2MeV程度までの中~高エネルギー帯域の電子計測をそれぞれに最適化された2台のセンサーで行う予定であり、本年度は、中エネルギー帯域電子センサーの詳細設計・試作を行い、再整備された電子ビームラインにて性能評価試験を行った。また、世界初となるソフトウェア処理型の波動-粒子相互作用解析装置の基礎開発として、衛星機上処理専用回路上で、ハードウェアを制御するミドルウェアを導入し、その上でWPIAを動作させるための基本プログラムの開発を開始した。またWPIA出力を評価するための疑似データを生成するためのシミュレーションを行った他、粒子センサーの性能も踏まえたWPIAアルゴリズムの検討を行った。また、極域磁気圏での宇宙プラズマ観測に基づき、オーロラ発光を引き起こす電子降下領域の近傍に、それらとは逆の準静電場構造を示唆するイオン降下現象を発見し、その現象の空間分布・時間変動に関する見積を行った。
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IEEE Transactions on Nuclear Science
巻: 57 ページ: 841-847