研究概要 |
イメージング・ラマン分光装置の概要および画像処理の概要を,(1)均一な蛍光板上で蛍光強度を測定し,その際観測された蛍光の不均一が励起光強度の関数であると見なして補正を行う,および(2)樹脂の選択や固化条件の調整によっても取り除けない蛍光(バックグラウンド)を任意のスペクトルのピーク位置と任意の波数だけずらし準位置で測定したラマンそれぞれの強度から補正するプログラムの内容を中心に,日本鉱物科学会2011年度年会(茨城大学)でポスター発表をした. 含マイクロ・ダイヤモンド捕獲岩とともに産するスピネルかんらん岩,斜長石かんらん岩,斑れい岩の岩石学的・鉱物学的特徴と三者相互の関係を,日本地質学会第118年学術大会(茨城大学)で発表した.主な内容は,各岩種の平衡温度,形成圧力,単斜輝石などに包有されているCO_2流体包有物の密度,および希土類元素を含む微量元素組成の特徴である.そして,これらの情報を元にして,中新世の北部四国下には,斑れい岩質の地殻,かんらん石集積岩の下位に高枯渇度のマントルが位置するリソスフェア層構造が存在し,その中位に斑れい岩-ノーライト質のマグマが貫入したことを論じた.そして,このマグマを熱源として地下30kmが1000℃近くに達する高い地温勾配か・形成された可能性を論じた. また,画像処理ソフトのさらなる改良を行うとともに,二次元画像の重ね合わせによって,三次元イメージを得る画像ソフトの開発を行っている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定通り,AOTFを利用したイメージング・ラマン分析装置本体は完成したが,当初の予想以上に分析用試料作成時に用いる樹脂の蛍光励起による妨害が強いことと,照射するレーザー強度が不均一であることが問題点として顕在化し,それらに対する対応が必要となったため.また,レーザー光源とレーリー散乱用フィルターに不具合が生じ,高原の修理およびフィルターの交換に時間を要したため.
|
今後の研究の推進方策 |
当初は,イメージング・ラマン分析装置本体の改良や対物レンズの交換などにより,顕在化した問題点に対応しようと試みたが,完全には問題を解決することができなかった.そこで,得られた画像をコンピュータ処理することで,ほぼ解決できる見通しとなった. 今後は,画像処理ソフトのさらなる改良を目指す.これと平行して,を含マイクロ・ダイヤモンド捕獲岩の検討を開始して,その研究は,計画年度終了後も継続して行い,申請時の目標を達成する予定である.
|