研究概要 |
1.PVP保護金クラスターの酸化触媒活性の発現機構の解明 PVPで保護した金クラスター(平均粒径1.1nm)が酸素酸化反応に対して高い活性を示す起源を,電子構造との関連から調べた.各種分光法を使って,PVPからの電子供与によって負電荷を帯びた金クラスターによって酸素分子が活性化されるという機構を提案し,論文としてまとめた. 2.マイクロミキサーを用いた高分子保護金属クラスターの調製 PVPが金属クラスターを触媒的に活性化できることを受け,PVP保護金属クラスターの精密合成に取り組んだ.金属イオンと還元剤水溶液をマイクロミキサーで混合することで,極めて微小で(平均粒径1.0nm程度)で分散度の高い金や白金のクラスターを得た.特に,金の場合にはミキサーの温度を上げることで,核成長速度を抑えたまま,準安定クラスターを解離させ,魔法数クラスターのみを選択的に合成できることがわかった. 3.気相の金属クラスターの電子構造と酸素との反応性 気相金属クラスターによる酸素分子の活性化過程を調べるための装置開発を行った.レーザー蒸発法によるクラスター発生源の直後に温度が可変のガスセルを設置し,アルミニウムクラスターを使って装置の性能を確認した.セルを冷却することで,初めて酸素分子の付加体の検出に成功した.その構造を解明するために,光電子分光装置の立ち上げ調整を開始した.
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