研究課題
過去4年間にわたる研究で得た知見を統合し、より高度な制御と、より幅広い系への展開を目的に研究を行い、当初目標を上回る成果を得るとともに、最終的に「複合キラル超分子を用いる光不斉創成」を新規な複合的学術領域として確立、発信することができた。本年度の主要な成果としては、1)光不斉合成において、複数の外部環境因子を用いてより精緻で高度な多次元的な制御法を確立した。具体的には、環状オリゴ糖やキラル足場とする系を複合的に制御することにより、光不斉合成では初めてとなる化学収率96%、光学収率99%を与える系を見いだし、当初の目標を十二分に達成した。骨格がより柔軟で一見立体制御が難しいと考えられるキラル足場系では、励起状態寿命の短さが高選択性をあたえる主要要因であることを明らかにした。この新規反応制御法を基盤に、より単純な単糖や環状ジオールを足場とした系でも上記と同程度に高い光学収率が得られることを見いだし、その適用範囲を拡張した。2)キラルテンプレートを用いる系では、より困難ではあるが単一のキラル生成物が得られる交差光二量化系にも研究を展開し、本法の適用限界をさらに拡げた。3)生体超分子系では、すでに90%を超える光学収率が得られることを見いだしていたが、タンパクが触媒的に繰り返し利用可能であることを明らかにするとともに、時間分解蛍光異方性解消という新手法を用いて、その高い光学収率が得られる原因をも解明した。さらに、望みのものだけを作れるテーラー・メイドの抗体触媒的な手法を超分子光不斉反応系に取り入れ、自在に光不斉反応場を構築する新手法を開拓した。4)5年間にわたる研究成果は英国化学会発行のChemical Society Reviews誌にSupramolecular Photochirogenesisと題する総説として取りまとめ、広く世界に発信した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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