研究課題/領域番号 |
21245012
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
戸部 義人 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (60127264)
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研究分担者 |
廣瀬 敬治 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (10252628)
田原 一邦 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40432463)
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キーワード | 合成化学 / パイ共役系 / 走査プローブ顕微鏡 / 自己組織化 / 分子認識 / 2次元結晶工学 |
研究概要 |
本研究は、固体表面にプログラム化きれた2次元分子ネットワークを構築するための指導原理を導出し、未開拓の2次元結晶工学を拓開することを目的として行った。「22年度は、以下の課題について研究を行った。 ・多重の分子間相互作用による複雑な多成分2次元結晶構造の構築:分子間に働くファンデルワールスカが異なるような、長さの違うアルキル鎖を有する三角形分子によって形成される2次元分子ネットワークについてSTM観測を行い、アルキル鎖の長さの違が相分離と混合ネットワークの形成に及ぼす効果を解明した。 ・2次元結晶の動的挙動と指導原理の導出:ファンデルワールス力により固液界面において形成される2次元結晶に及ぼす温度効果について研究した。その結果、従来、水素結合ネットワークに関して見出されていた現象とは対照的に、高温ほど密度の低い多孔性のネットワークが形成されるという極めて特異な現象を発見した。溶液中における活量の温度変化が影響しているものと考え、熱力学モデルの構築を検討している。 ・2次元ナノ空間の反応場としての利用:異なるアルキル基により交互に置換され、末端にアゾベンゼン部位を有する三角形分子を用いることにより、光照射によりナノ細孔の大きさを変化できる2次元分子ネットワークを形成し、光照射前と後で空孔に吸着される分子の数が変化するという現象の観測に成功した。また、ナノ空間が親フッ素的環境を形成するような交互置換3角形分子を合成し、それがグラファイト表面で多孔性のネットワークを形成することを確認した。高度にフッ素化されたパイ電子系化合物の選択的共吸着について検討している。また、高反応性ブタジイン部位を有する環状化合物をグラファイト表面上に整列させ、光照射等の外部刺激による表面上での重合を試みたが反応が生起しなかったため、新たな分子設計を行い再検討している。
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