研究課題
本研究は、固体表面にプログラム化された2次元分子ネットワークを構築するための指導原理を導出し、未開拓の2次元結晶工学を開拓することを目的として行った。(1)多成分分子から構成される2次元分子結晶の構築:四角マクロサイクルの側鎖のエーテル酸素の位置の最適化により、ファンデルワールス力と双極子-双極子相互作用による交互2次元配列の形成を行い、その駆動力を分子力学計算に基づいて考察した。三角形のデヒドロベンゾアヌレン(DBA)の系では、金(111)表面におけるハニカムパターンの形成と、ゲスト分子存在下における高次の周期性をもつ超格子構造の形成に成功した。(2)2次元分子結晶における動的挙動と指導原理の導出:2次元結晶系の熱力学に関して考察する目的で、DBAの2次元結晶多形に及ぼす温度効果について詳細に検討した。その結果、比較的明確な転移温度が存在することを解明し、熱力学モデルを立てて説明することに成功した。また、異種分子間で形成される分子ネットワークに関して、長さの異なるアルキル鎖をもつ2種類のDBA分子による混合分子ネットワークや1分子中に異なる長さのアルキル基を有するDBA分子が形成する分子ネットワークの選択性について調査し、分子動力学法を用いて実験を再現した。(3)2次元反応場における特異的化学反応:アゾベンゼン部位をもつDBA分子を用いて、アゾベンゼンの光異性化により空孔のサイズが制御できることを、空孔内に共吸着されるコロネン分子の吸着数の変化から読み取ることにより実証した。空孔内におけるゲスト分子間のアルキン-アジド間クリック反応について検討したが、反応が基板上でのみ起こるかどうかについては検証するに至らなかった。しかし親フッ素的空孔を備えたDBAの分子ネットワークにフッ素化されたゲスト分子が選択的な取り込まれることを実証し、2次元ホスト・ゲスト化学の礎を築いた。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (14件) 備考 (1件)
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