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2009 年度 実績報告書

高原子価ヒドリド錯体を用いた分子変換反応場の構築

研究課題

研究課題/領域番号 21245015
研究機関東京工業大学

研究代表者

川口 博之  東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (20262850)

キーワードヒドリド錯体 / 前周期遷移金属 / 多座配位子 / アリールオキシド配位子 / タンタル / ニオブ
研究概要

高原子価ヒドリド錯体を用いた分子変換反応場の構築を目的に、多座アリールオキシド配位子をもつ前周期遷移金属のヒドリド錯体の合成を行った。本年度は金属としてタンタルを選択し、多座配位子をして3つのアリールオキシドをメチン炭素で3脚型に連結した3座配位子L^<3->を用いた。配位子の前駆体H_3[O_3]とTaCl_5をアセトニトリル中で反応させるとHClの発生と共に[HO_3]TaCl_4(CH_3CN)(1)が得られた。錯体1では、[HL]^<2->の3つある2つの酸素原子が金属中心にキレート配位している。残りの1つの酸素原子はプロトン化されており、金属との相互作用はない。錯体1にNEt_3を作用させると、[HO_3]^<2->の脱プロトン化が進行し、(NEt_3H)[(syn-O_3)TaCl_3](2-syn)が得られた。錯体2-synでは[O_3]^<3->が3座配位子として金属に配位し、メチン炭素部位の水素原子は金属中心に向いている。この錯体にKBHEt_3を作用させると、メチン炭素部位のC-H結合活性化が起こり、[K(DME)]_3[{(O_3C)Ta}_2(H)_5](3)が得られた。一方、2-synを過熱すると異性化が進行し、メチン炭素部位のC-H結合が金属中心とは逆方向に向いた(NEt_3H)[(anti-O_3)TaCl_3](2-anti)が生成する。この異性体にヒドリド試薬を同様に反応させると、C-H活性化反応は進行せず、[K(DME)]_2[{(anti-O_3)Ta}_2(H)_4](4)が得られた。錯体4と類似のニオブ錯体は窒素分子と反応するが、タンタル錯体は反応しない。これは、5d金属であるタンタルの方が4d金属であるニオブよりも還元されにくく、窒素分子の活性化に必要なヒドリド配位子の脱離が抑制された結果である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] Synthesis and Structures of Zirconium (IV) Complexes Supported by 2, 6 -di-Adamantylaryloxide Ligands and Formation of Arene-bridged Dizirconium Complexes with an Inverse Sandwich Structure2010

    • 著者名/発表者名
      T.Watanabe, Y.Ishida, T.Matsuo, H.Kawaguchi
    • 雑誌名

      Dalton Trans

      ページ: 484-491

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Reductive Coupling of Six Carbon Monoxides by a Ditantalum Hydride Complex2009

    • 著者名/発表者名
      T.Watanabe, Y.Ishida, T.Matsuo, H.Kawaguchi
    • 雑誌名

      J.Am.Chem.Soc. 131

      ページ: 3474-3475

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 前周期遷移金属ヒドリド錯体による小分子活性化2009

    • 著者名/発表者名
      川口博之, 石田豊
    • 雑誌名

      触媒 51

      ページ: 607-612

    • 査読あり

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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