研究課題/領域番号 |
21245020
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
岡田 哲男 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (20183030)
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研究分担者 |
長谷川 健 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (30258123)
原田 誠 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (60313326)
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キーワード | 氷 / 物質分離 / マイクロリアクタ / 共存液相 / キラル分離 |
研究概要 |
本年度は氷を用いる検討として以下の項目について検討を行った。 1.アイスクロマトグラフィー:アイスクロマトグラフィーについては、キラルセレクタをドープすることでキラル分離が可能であることを新たに見出した。この際塩などの補助剤を適切な量同時に加えておくことが重要で、これにより共存液相が生じ、その中でキラル選別が起きるものと推測される。しかし、バルク水溶液に比べて100倍以上の選択性の増強が起きており、このメカニズムの解明は次年度以降の重要な課題である。 2.氷表面および内部に生じる共存液相でのイオンの水和:X線吸収微細構造(XAFS)を用いてBr^-の氷表面および氷内部の共存液相における水和構造を決定した。共晶点を境にして、氷内部の共存液相では塩の結晶構造から水和構造への転移が明確に見られるのに対し、氷表面では水和の進行が遅れること、また低塩濃度の氷内部共存液相中では共晶点以下でもかなりの割合で水和イオン構造が保たれたまま凍結されていることなどが始めて明らかになった。 3.氷をマイクロリアクタとして用いる際のサイズ制御:氷共存液相をマイクロリアクタとして利用するための基礎検討として、共晶点顕微鏡を用いて液相サイズの制御の可能性を追究した。その結果、ドープする塩の種類と濃度、温度によってある程度の制御が可能で、KClをドープした場合、直径0.1~5μm程度の範囲で共存液相の大きさを制御可能であることを見出した。 4.氷光導波路:氷スラブ上でクロマトグラフィー分離、導波路を用いて蛍光分析する新しい氷マイクロチップの可能性を見出した。また、ドープ氷を試薬供給システムとして用いることができることを明らかにした。この検討から分離-試薬供給-導波路としての高い融通性をもつ分析システムとして氷が利用可能であることがわかった。
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