平成21年度は、以下のような成果を挙げた。 1.磁気泳動法の確立について 液滴の磁気泳動速度を詳細に測定検討し、液滴の界面において常磁性金属イオン(希土類イオン)がカルボン酸と反応して界面に吸着すると、界面の磁化率が増大することを明らかにした。界面磁化率は、液滴のサイズすなわち比表面積の増大に連れて液滴の見かけの磁化率が増大することから判定できる。界面磁化率は新しい概念であり、今後、ゼータ電位のような表面電気物性と並んで有用な微粒子の磁性パラメーターとなることが期待される。磁気泳動の実験法においては、磁気回路の有効性が示され、これにより、光学顕微鏡下で容易に磁気泳動速度の測定が可能となった。これは、微粒子磁化率計の普及に大いに貢献する成果である。 2.磁気光学効果の利用開発について 一連の希土類イオンの水溶液のファラデー効果よりモルヴェルデ定数を決定した。そして、モル磁化率およびJ値との相関性を検討した結果、f電子数が7以下のものとそれ以上のものの間には明らかな相違があり、ファラデー効果の有効遷移確率と磁気モーメントの間に線形的比例関係があることを明らかにした。さらに、パルス磁場を用いるファラデー画像測定が可能であることを確認した。
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