平成22年度は、以下のような研究実績を挙げることができた。 (1)平板ガラスプレートを使用する微粒子径測定法としてナノギャップ法を開発した。ナノギャップデバイスを磁気勾配にセットすると、磁気泳動速度と直径を顕微鏡下で同時に測定することができ、それらの解析から、単一微粒子の磁化率を測定することに成功した。さらに、微粒子をトラップしたナノギャップデバイスはそのまま顕微ラマン散乱装置の試料に供することができ、単一トラップ微粒子のラマンスペクトルを測定することができた。この方法により、ポリスチレン標準試料および大気中浮遊微粒子の磁化率を測定することができた。 (2)電磁浮力を利用して、細胞とタンパク質の結合力および解離頻度を測定する方法および解離頻度の速度論的解析法を開発した。そして、20秒間で0-60pNの張力(3pN/sの増大速度)を作用させることにより、酵母細胞とConAの結合解離速度を測定し、両者の解離に要する力は平均で41pNであること、張力を作用させないときの解離の速度定数は、4.9x10^<-3>S^<-1>であり、解離に至る臨界伸長距離は0.25nmであると決定できた。 (3)フェロセン薄膜のファラデーイメージング測定を行い、その配向特異性を議論した。
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