研究課題/領域番号 |
21245027
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
真島 和志 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (70159143)
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研究分担者 |
大嶋 孝志 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (10313123)
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キーワード | 亜鉛 / コバルト / 4核錯体 / エステル交換反応 / 官能基選択性 / 化学選択性 / フラン環合成 / オキサゾリン合成 |
研究概要 |
多くの金属酵素が2つ以上の金属の協奏効果を巧みに用いて多くの生体内反応の触媒としての役割を担っている。われわれは、このような金属酵素の機能をもつ金属クラスター触媒の開発を行い、トリフルオロ酢酸架橋亜鉛四核クラスターがエステルとアルコールの同時位置固定・活性化能を持つことを見いだした。官能基選択制に優れたエステル交換反応、フラン合成およびオキサゾリン合成反応を見いだした。 亜鉛四核クラスターの特筆すべき特徴は、求核性に優るアミン存在下においても水酸基が選択的にアシル化されることである。この化学選択性は亜鉛四核クラスターが高い酸素親和性を有しており、エステルとアルコールを選択的に位置固定、活性化することで発現すると考えられる。酢酸エチルを溶媒およびアセチル化剤とする水酸基のアセチル化反応は、高い官能基共存性を保持したまま進行し、過剰量の酢酸エチル存在下でもアミノアルコールの水酸基を選択的にアシル化できる。また、アセチル基は、アルコール溶媒を用いると容易に除去することができる。亜鉛四核クラスター触媒存在下エステルとβ-アミノアルコールをクロロベンゼン中加熱還流するとアシル化に続く脱水環化反応が進行しオキサゾリンが一挙に構築されることや、フラン環合成の優れた触媒となることを見いだした。亜鉛四核クラスター触媒によるエステルをアシル化剤とする種々の官能基変換反応は、複数の亜鉛原子を適切に配置し、複数の基質を選択的かつ同時に位置固定、活性化することで特異な化学選択性が発現できることを示している。ごく最近、亜鉛の代わりにコバルトにおいてもクラスターにすることにより単核触媒と異なる反応性を示すことを見いだした。次年度以降、これらの研究を進めることにより、金属酵素がある特定の金属のクラスターを選んだ理由を解明することに目指した研究を進めている。
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