研究概要 |
前周期遷移金属アルキル錯体は、σ結合メタセシス反応機構により、C-H結合の活性化およびC-C結合の活性化を行うことができる。配位不飽和なHf錯体を合成し、様々な複素芳香環化合物の炭素-水素結合活性化が進行するばかりでなく、複素芳香環化合物と不飽和炭化水素との脱水素カップリング反応が進行することを見出した。^2ジイミン配位子とテトラベンジルハフニウムとを反応させることにより、イミン部位のアルキル化に加え、イミン炭素上の芳香環のオルトメタレーションが進行したジベンジル錯体を収率80%で単離した。本錯体を触媒前駆体とし、助触媒にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを用いることにより2, 6-ジメチルピリジンと3-ヘキシンとの触媒的カップリング反応が進行し、2, 6-ジメチルピリジン1当量と3-ヘキシン2当量による脱水素を伴った[2+2+1]環化反応により5員環化合物が収率62%で得られることを見いだした。本触媒反応は酸化剤を必要としない脱水素カップリング反応の初めての例である。本触媒反応における中間体の単離や重水素化実験による詳細な反応機構の検討を行い、本触媒反応は基質の炭素-水素結合活性化、挿入反応、転移反応、・-水素脱離を経由する反応機構で進行することを明らかにした。次に、本錯体に対して、様々な複素芳香環化合物の炭素-水素結合活性化の検討を行ったところ基質に2-フェニルピリジンを用いた場合は2-フェニルピリジンのフェニル基の炭素-水素結合活性化が進行し5員環メタラサイクル構造を有する錯体が定量的な収率で得られた。
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