研究課題/領域番号 |
21245031
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
辻井 敬亘 京都大学, 化学研究所, 教授 (00217308)
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研究分担者 |
大野 工司 京都大学, 化学研究所, 准教授 (00335217)
後藤 淳 京都大学, 化学研究所, 准教授 (20335219)
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キーワード | トライボマテリアル / ポリマーブラシ / リビングラジカル重合 / 階層構造 / ソフトマテリアル |
研究概要 |
本研究では、濃厚ブラシ効果に基づく優れた機能を巧みに組み込んだ新規ソフト&ウェットトライボマテリアルの構築を目指している。本年度は、ボトルブラシ型ビルディングブロックの階層化をさらに進めるとともに、ナノファイバー不織布を基盤に、その力学特性を活かした材料設計を検討した。主な成果は、以下のとおりである。 (1)ソフトマテリアル(ゲル)への濃厚ブラシ付与:前年度に達成した親水性ボトルブラシの合成条件ならびに架橋反応条件の最適化を図り、高度潤滑性を有する親水性ゲルを構築するとともに、セルロースナノファイバー(バクテリアセルロース)との複合化により、強度と潤滑性を兼ね備えた材料の開発に成功した。これらのゲル膜ならびにコンポジット膜の表面特性を調べた結果、期待されたように、低剪断速度域まで流体潤滑が維持されることを確認した。 (2)濃厚ブラシ構造を有するナノファイバーの集積化:セルロースナノファーバー不織布を基材に、ブロモエステル基の導入、つづいて、親水性ポリマー鎖のグラフト化に成功した。重合条件の調製により、グラフト鎖長したがってグラフト量の異なる一連のサンプルが合成可能であった(いずれも約200%というほぼ等しい膨潤度を与えた)。なお、ナノファイバーが面内に配向し、良溶媒中の膨潤は異方的(膜厚方向にほぼ限定)であった。 (3)潤滑機構の解明:イオン液体をポリマーブラシの膨潤溶媒として用いることにより、高度潤滑と不揮発性を実現した。本系において、流体潤滑の摩擦特性が膨潤溶媒の粘性に支配されることを明らかにした。 (4)構造解析・評価:表面間に形成される流体潤滑層を光干渉法によりその場観察すべく、光学顕微鏡とトライボメータを組み合わせた評価システムを構築した。
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