研究概要 |
初年度は,アルミニウムを酸性水溶液中で陽極酸化して得られるポーラスアルミナの微細細孔配列の形成を行い,細孔内への強磁性体の充填と,得られたコンポジットの磁化特性について検討を行った.ポナラスアルミナの微細構造の形成については,12Vの低化成電圧での陽極酸化により,細孔が30nm間隔で規則配列したポーラスアルミナが得られた.りん酸への浸漬により細孔サイズおよび細孔底部のバリヤー層の厚さを調整した後,硫酸コバルトを主成分とする電解液中での交流めっきにより,ポーラスアルミナの細孔底部からコバルトを析出させた.めっきの続行に従い,細孔内へのコバルトの充填率が増加したが,部分的に表層に析出した部分でコバルトの還元析出が集中したため,イオンビームを用いたドライエッチングにより,ポーラスアルミナ部を含む表層部を除去した.ドライエッチング条件の最適化により,全ての細孔でコバルトが研磨面まで密に充填された,表面が平滑な試料を得ることができた.得られた試料の磁気特性について,新規購入備品である小型自動振動試料型磁力計を用いて測定したところ,コバルトシリンダーの長軸方向に磁化した場合に残留磁化,保持力共に増大した.また,細孔サイズ,すなわちコバルトシリンダー径を変化させた試料で比較したところ,シリンダー径の減少に従い保持力,残留磁化共に増大する結果が得られた.以上の結果から,細孔周期30nmのパターンド磁気記録媒体の基本構造を作製し,その磁化特性を確認することができた.
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