研究概要 |
今年度は,以下の3点の主な成果が得られた (1)より微細な細孔周期での高規則ポーラスアルミナの形成条件の検討 昨年度の30nm周期からの微細化を進めたところ,化成電圧を下げることにより細孔の間隔は短縮されたが,得られた細孔配列は不規則であった.細孔配列が規則化する化成条件について詳細な検討を行った結果,電解液組成を最適化し,比較的高い電解液温度で短時間の陽極酸化を行うことで細孔配列が規則化することがわかった.化成電圧を11Vとした際には細孔周期28nm,10Vとした場合には細孔周期25nmの高規則ポーラスアルミナが得られた.しかし,細孔配列が規則化した領域は試料のごく一部であり,その原因の究明と広範囲での規則化条件の探索が課題となった (2)アルミナ/Coコンポジットの表面研磨手法の検討 ポーラスアルミナの細孔にCoを電解析出させる際に,Coがポーラスアルミナの表面に析出する.昨年度は,イオンビームエッチングによってCo層の除去と表面の研磨を実施していたが,研磨される面積と研磨量の不均一さが課題となっていた.今年度は,コンポジットの表面を機械的に研磨する手法について検討を行った結果,試料を専用の治具に固定し,回転研磨機の研磨面との平行を維持して研磨することにより,イオンビームよりも広い面積で均質な研磨面が得られ,再現性のある磁気特性の評価が可能となった. (3)テクスチャリングにもとづく細孔配列の制御 電子線描画を用いて,突起配列100nmの規則突起配列を有するモールドを作製した.これをアルミニウムに押しつけ,表面に凹みの配列を形成して陽極酸化することにより,凹み配列に対応した100nm周期の細孔配列を有するポーラスアルミナを形成することができた
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