研究概要 |
今年度は,アルミナ/Coナノコンポジットの磁気特性の最適化と記録密度の向上を中心に研究を進めた結果,以下の成果が得られた. (1)高い垂直磁気異方性を示すアルミナ/Coナノコンポジットの作製 磁気記録媒体に求められる磁気特性の重要なパラメーターに,磁界が0の時の飽和磁化に対する残留磁化の比である「角型比」がある.垂直磁気記録媒体では,垂直方向に磁化した際の角型比の高さが重要となる.高い角型比を示すアルミナ/Coナノコンポジットの構造について検討を進めた結果,Coシリンダの直径を縮小し,アルミナ壁の厚さを相対的に増大させた構造が優れた角型比を示すことがわかった.作製条件の最適化により,最大で0.95の角型比を示すアルミナ/Coナノコンポジットを得ることができた.また,磁界に対する耐性を示す「保持力」の向上には,Coシリンダのアスペクト比の増加が効果的であることがわかった.Co系以外の強磁性材料による保持力の向上についても検討したが,研究期間内にCoを越える成果を得ることはできなかった. (2)1Tb/inch^2を越える記録密度を有するアルミナ/Coナノコンポジットの作製 細孔が23nm周期で規則配列した陽極酸化ポーラスアルミナを得ることができた.この細孔内に電気化学的にCoを充填することにより,強磁性体が23nmの間隔で規則配列したアルミナ/Coナノコンポジットを作製した.更に微細な周期でのポーラスアルミナの自己規則化条件について検討を進めたところ,硫酸濃度と塩酸濃度の最適化により,細孔周期17nmの規則性ポーラスアルミナを得ることができた.これをもとにして得られたアルミナ/Coナノコンポジットも明確な垂直磁気異方性を示すことが確認された.
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