研究課題/領域番号 |
21246003
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
白木 靖寛 東京都市大学, 総合研究所, 教授 (00206286)
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研究分担者 |
丸泉 琢也 東京都市大学, 工学部, 教授 (00398893)
野平 博司 東京都市大学, 工学部, 教授 (30241110)
瀬戸 謙修 東京都市大学, 工学部, 講師 (10420241)
徐 学俊 東京都市大学, 総合研究所, ポストドクター (80593334)
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キーワード | ゲルマニウム / フォトニック結晶 / 量子ドット / シミュレーション / 光電子融合デバイス / マイクロディスク / 高誘電率絶縁膜 / 歪み |
研究概要 |
歪みGeチャネルデバイスの集積化へ向けて、微細化に重要となる要素技術の開発を進めた。具体的には、チャネル移動度の高速化として、ガスソースMBEによる結晶高品質化により、3,000cm2/Vsを超える超高移動度を実現し、そのパラレル伝導の解析、結晶構造、転位などの詳細な評価を進めた。さらに低消費電力デバイス化へ重要となる、GOI(Ge-on-Insulator)基板の開発を進め、エピタキシャル成長と張り合わせ技術を駆使することにより、欠陥密度の低い膜厚300nmのGOI基板の作製に成功した。また、一軸歪みGeチャネルデバイスに向け、選択的イオン注入法の開発を継続し、これまでよりもGe組成を大きく向上させた、Ge組成50%に近いSiGe一軸歪みバッファー層を実現した。 さらにSi集積回路における光配線実現へ向けて、SOI(Si-on-Insulator)基板上に、Ge量子ドット/Siの多層膜を形成した後、不純物ドーピングによりp型領域とn型領域を形成し、外部から電流を量子ドット領域に注入可能な構造を作製した。さらにGe量子ドットで生じた発光を閉じ込め、共振させるため、フォトニック結晶微小共振器を作製した。今回は、光が横方向に漏れないように、円柱形状をもつ空気孔を三角格子状に周期的に加工、配置し、未加工の領域を残し、その部分で光を共振させた。具体的には、空気孔3個分の寸法をもつL3共振器構造を採用し、通信波長帯の領域で、高Q値(1500以上)の発光に成功した。 シミュレーション開発として、密度傾斜法を組み込んだデバイスシミュレータを開発し、歪みチャネルデバイスでの移動度計算を行い、実験結果と比較をすることで、構造最適化を進めた。ほぼ理想通りのデバイス特性が得られ、散乱要因などの特定化に有効となる。また、第一原理計算により不純物元素の偏析現象について詳細に調べ、微細デバイスでの低抵抗コンタクト形成に重要な知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電子デバイス開発に関しては、まだ微細デバイス移動度評価には達していないものの、別手法(ホール測定)による移動度評価では大幅な移動度増大を達成し、構造の非常に高いポテンシャルを示すことができている。さらに一歩進んだ、GOI構造開発にも成功している。光デバイス開発では、電流注入による高Q値発光を達成している。シミュレーションにおいては、特に電子デバイス開発において進めている不純物極浅ドーピング技術に有用なフィードバックを与える、偏析現象の重要な知見を得ている。これらのことより、本研究は順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの成果を踏まえて、基本的には大きな軌道修正はせずに、さらに技術を洗練させていく。電子デバイスに関しては、得られている高品質チャネル構造のデバイス移動度評価に注力し、光デバイスに関しては、シミュレーションに基づいた共振器構造の最適化によりQ値の向上を目指す。さらに、これまでの実験結果をもとに、より詳細なシミュレーションを進め、実験結果の解析につなげる。
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