研究課題
本年度は、DERI法を基盤とした高品質結晶成長技術により作製した各種InN結晶を用いて、InN系窒化物半導体を用いたデバイス実現への基盤技術開発、基礎物性評価を進めた。まず、オーミック電極金属としてAlを用いてInNに対する接触抵抗を調べたところ、接触抵抗のInNの電子濃度に対する依存性が非常に小さいという、InNに特有の特性が観測された。次に、電極金属としてAl,Ti,Niを用いて特性の比較を行ったところ、GaNに対してはショットキー金属であるNiも含めて、いずれの電極金属に対してもオーミック特性が得られることを明らかにした。さらに、オーミック電極として一般的なTi/Al/Ti/Au電極構造を用いることで、ノンアロイの状態で5.5×10^<-8>[Ωcm^2]というこれまで報告されてきたInNに対する接触抵抗と比較して最小の値を得ることに成功した。続いて、電子デバイス応用に必須となるショットキー特性を実現することを目的としてさらなる検討行った。InN上に薄膜AlNを成長した構造を作製し、電気的特性を調べたところ、意図したショットキー特性は得られなかったものの、前記構造においては、ショットキー特性を得るために有利となる表面電荷の蓄積の低減を示唆する有意義な結果が得られた。各面方位並びにMgをドープした高品質InN結晶について、ケルビン力顕微鏡(KFM)並びにX線光電子分光法(XPS)を用いた詳細な表面状態評価を行った。KFMによる評価から、InN結晶表面の表面電位は、面方位や残留キャリア濃度にはほとんど依存せず、真空準位から4.9eVという位置にピニングされることを見出した。すなわち、表面のポテンシャルは、主として最表面のダングリングボンドや酸化物等に起因する表面欠陥に支配されており、デバイス実現のためには、表面制御が主要基盤技術となることを検証した。
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