研究概要 |
DERI法を基盤とした高品質結晶成長技術により作製した各種InN結晶を用いて、InN系窒化物半導体を用いたデバイス実現への基盤技術開発、基礎物性評価を進めた。 (1)前年度えら得たp型ドーピングの成果をInGaNに適用し、広範囲にわたるIn組成InGaN(x=0.10, 0.20, 0.30, 0.67, 0.77, 0.88)に対して、Mgドーピングによるp型伝導制御を試みた。ホール効果測定、ECV測定、サーモパワー測定によるp型伝導評価を行った結果、高Ga組成InGaNにおいては、全ての試料においてp型伝導を確認した。一方、高In組成InGaNでは、表面電荷蓄積層の影響によりホール効果測定によるp型判定は得られなかったが、ECV、サーモパワーにおいてp型伝導を確認することができた。 (2)DERI法によるInGaN成長を応用しInGaN結晶の厚膜化について検討を行った。まず初めに、Metal-rich条件でのInGaN成長と、これに対して続くDroplet Elimination Processにおいて、N^*だけでなくGaも同時に追加照射を行う2つのプロセスを繰り返すことにより、InGaN厚膜成長を行った。作製したIn組成19%のInGaNをXRD、断面TEM観察により評価を行った。XRDでは単一In組成のInGaNからのシングルピークが得られており、また、断面TEM像からもプロセス周期に対応した成長界面など形成されておらず、均一なInGaNが成長していることがわかった。 (3)デバイス応用基盤技術開発として、In極性InN及びN極性InNのドライエッチングを行い、各エッチング条件におけるInNに対するドライエッチングコンディションの把握を行った。N極性InNとIn極性InNではエッチングレートが異なり、すべての条件においてN極性InNよりもIn極性InNが高いエッチングレートを有していることが確認された。エッチングレートは、In極性InNでは15.8nm/min、N極性InNでは11.1nm/minであった。この結果はInNに対するドライエッチングは極性による依存性を有していることを指示している。
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