研究課題/領域番号 |
21246005
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
平山 秀樹 独立行政法人理化学研究所, テラヘルツ量子素子研究チーム, チームリーダー (70270593)
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研究分担者 |
寺嶋 亘 独立行政法人理化学研究所, テラヘルツ量子素子研究チーム, 基幹研究所研究員 (30450406)
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キーワード | テラヘルツ / 量子カスケードレーザ / 窒化物半導体 / 金属プラズモン導波路 / MBE結晶成長 / サブバンド間遷移 / 超格子 |
研究概要 |
電波と光波の両方の性質を兼ね備え持つ、未開拓の光、テラヘルツ(THz)光は、近年、特定試薬・化学物質・構造等を非破壊かつ安全に検出するテラヘルツ分光イメージングの光源として注目され幅広い分野での利用が急速に進みつつある。テラヘルツ帯量子カスケードレーザは、小型、高効率、高出力、長寿命、狭線幅テラヘルツレーザ光源として大変に期待されている。しかし、量子カスケードレーザでは電子-LOフォノン散乱による非発光再結合確率が大きいため5-12THz帯のレーザ発振がこれまで得られなかった。一方、窒化物半導体では散乱波長帯はより高エネルギー側にあるため、これまで不可能であった5-12THz帯のレーザ発振が可能になると考えられる。本研究では、窒化物半導体を用いた量子カスケードレーザ実現のための技術開拓を新たに行い、それを実現することにより、これまで不可能であった5-12THz帯を含むTHzレーザ発振を実現することを目的とする。 今年度は、窒化物MBE装置を用いて、引き続きGaN系THz-QCL構造を作製し、その高品質化を試みた。THz自然放出光の発光強度は、貫通転位密度と発光層の層数に大きく依存することが分かってきた。そこで、窒化物QCL構造をGaN単結晶基板上に作成し、貫通転位密度を大幅に低減した。その結果、FT/IRでスペクトル観測できる程度の強いTHz光が得られた。しかし、GaN単結晶基板や、サファイア上のGaNテンプレート上にAlGaN系QCL構造を作製した場合、クラックが入りQCLの発光層数を増やすのが難しいことが分かってきた、本研究ではAlN/サファイアテンプレートを利用し、クラック発生を防止しQCLの発光層数を増やすことを試みている。今後このような方法で高強度THz発光とTHz-QCL発振を目指す予定である。
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