本研究の目的は、地下や海底の質量密度分布を船、飛行機やヘリコプターなどの飛翔体に搭載して計測できる技術の開発であり、従来の計測精度を1桁以上高め、重力の勾配として1マイクロガル/m(10^<-8>/s^2)の精度を達成できるプロトタイプ装置を試作して実証することである。既存の重力計は船や飛翔体の上下運動加速度も一緒に計測してしまうため、船や飛翔体の精密な加速度値を別に精密に計測する必要があり、現状で最もよい計測精度は重力値で50マイクロガル程度と言われている。ここで目標とする1マイクロガル/mの測定精度を実現できかつ飛翔体に搭載できる計測器は、まだこの世に存在していないが、この計測精度が実現されれば、地下や海底の地中に眠る資源探査の能率が向上し、地下に潜む危険な活断層の探査にも有効な活用が期待できる。具体的には、自由落下するマイケルソン型レーザー干渉計を2つの落下体に分割し、それらの自由落下の際に生じる重力の差をレーザー光の干渉から計測する。精密な計測値を得るためには、自由落下装置の開発が主要な開発項目である。当初の計画では、1980年代に研究代表者が開発した単純な落下方式を想定していたが、試作段階で本計測に適した投上げ方式を考案し、その具体化のためのテストを繰り返して新たな試作品を完成させた。この方式によれば、短時間で落下体を復元させ高速の計測が可能となる。プロトタイプの試作機により、マイクロガルの計測精度を実現できることが確認できた。このプロトタイプを飛翔体に搭載するための、軽量化、省電力化を施した。さらに飛翔体の揺れに呼応する計測レーザービームの位置制御の方式を設計したが、飛翔体搭載実験は未完である。一方、本計測装置を火山活動の監視モニターに利用しようとする研究も開始されている。なお、本研究では特許申請を行った関係で成果の公表を控えてきた経緯がある。
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