研究分担者 |
田沼 肇 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (30244411)
満田 和久 宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (80183961)
中井 泉 東京理科大学, 理学部, 教授 (90155648)
亀卦川 卓美 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 講師 (70195220)
篠崎 慶亮 宇宙航空研究開発機構, 研究開発本部, 開発員 (10435802)
|
研究概要 |
現在、既存の装置を用いて、重イオン衝突装置からの電荷交換過程によるX線放射のスペクトルをTES(Transitlon-Edge Sensor)カロリメータを用いて測定することを目標としている。TESカロリーメータはセンサーに超伝導体を用い、超伝導転移端における温度-抵抗曲線の急峻な変化を利用して、X線吸収体に入射したX線光子のエネルギーに比例したわずかな温度上昇を、抵抗値の変化として取り出す検出器である。TESを100mK以下に冷却する2段断熱消磁冷凍機(DADR)に対して必要となる改造を行い60mK以下の冷却を実現し、TESに流れる電流変化を測定するSQUIDを組み込んで動作させるところまで成功した。特に、ガスギャップ式ヒートスイッチを新規に製作して組み込み、性能の評価およびDADRに組み込んで動作させることに成功している。しかし、断熱消磁時の磁場により、TESが正常に転移しないという問題が明らかとなり、磁気シールドの改良を行っている。これと並行して、重イオン衝突装置にSi(Li)型の半導体検出器を用いた測定を行った。電子サイクロトロン共鳴型イオン源(ECRIS)を用いて生成したCおよびOの裸イオンおよびH様イオンを5-20kVの電位差によって引き出し,価数選別した後にマイクロキャピラリーから噴出させた標的気体(H_2,He)と交差させ,衝突領域からの発光を窓を持たないSi(Li)検出器によって直接測定した。軟x線領域におけるH様イオンからの発光は,1s-2p遷移が主要であり,1s-3pや1s-4p遷移もわずかに観測された。その比率は30-160keV程度の範囲では衝突エネルギーに依存しないことが判った。この傾向は,状態を選択した電荷移行断面積に関する理論計算値を用い,励起状態間遷移によるカスケードの効果を考慮することで,定性的に再現することができた。
|