研究課題
X線撮像分光器であるTES (Transition Edge Sensor)型マイクロカロリメータの開発を進めた。特にTESの放射線耐性の試験、および積層配線を用いた20×20におよぶ多ピクセル素子の性能評価、の2つが大きな内容となる。放射線耐性の試験では、Ti/Auの2層薄膜のTESにAuのX線吸収体をつけたTESカロリメータに対し、放射線医学総合研究所において150 MeVの陽子を約10 krad照射して、前後での超伝導転移特性、およびX線に対するエネルギー分解能を比較した。結果としては、転移温度、転移前抵抗、温度感度α= dlogR/dlogT ともに大きな変化はなく、エネルギー分解能も5.9 keVでの半値全幅で5.1 eVから5.6 eV へのわずかな劣化が示唆される程度であり、TESの性能に放射線の影響は無視できそうであることがわかった。多ピクセル素子の性能評価については、昨年度に製作された4×4ピクセルと20×20ピクセルの折り返し型積層配線を用いた素子を希釈冷凍機により100 mKの極低温まで冷却し、R-T曲線の取得や臨界電流の測定、X線応答の評価を実施した。4×4ピクセルの素子については、X線信号の取得にまで成功したが、エネルギー分解能は~100 eVと性能要求を満たすものではなかった。20×20ピクセルの素子については、2層薄膜のTiを厚くせざるを得ないため転移温度が高く臨界電流も小さく、カロリメータとして駆動することができなかった。この原因をさぐるため、アルミ配線との接合部を電子顕微鏡で観察、元素分析をおこなったところ、TESとアルミの上部配線の段差で剥離がみられた。並行し、「すざく」衛星を用いた地球近傍での太陽風からの電荷交換反応の研究、および電子サイクロトロン共鳴型イオン源で生成した水素様多価イオンの電荷交換反応の測定も進めた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Publications of the Astronomical Society of Japan
巻: 65 ページ: TBD
Journal of Low Temperature Physics
巻: 167 ページ: 777-782
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Astronomische Nachrichten
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10.1002/asna.201211664