研究課題
本研究では、次世代計算機環境における大規模シミュレーションを実現するために、特に並列化が困難な内部固有値問題の解法を対象として、複素周回積分を用いた固有値解法の実用技術を開発する。ここで開発した解法を、幅広い分野の問題に対応した基盤的ソフトウェアとして実装する。本年度は、前年度に開発した次世代計算環境向けのソフトウェア実装の要素技術に基づき、マルチコアCPUの分散環境において高性能を発揮するソフトウェアとして実装した。さらに、実問題を対象とした利用技術の開発を行い、ソフトウェアパッケージとして整備した。以下の3項目について実施した。(1)並列固有値解法アルゴリズムの基礎理論の構築とブロック化計算誤差に対するアルゴリズムのロバストネスの解析を行い、大並列環境下での耐故障性について検証した。また、Block Krylov部分空間法を利用した線形計算部分の効率化を行い、マルチコアでの高性能実装技術の開発を行った。(2)階層的並列環境での性能向上とソフトウェア実装階層的並列構造を持つ計算環境において高い効率を得るための方法をソフトウェアとして実装した。開発したソフトウェアはパッケージ名BLOSSとして産業技術総合研究所のサーバにおいて公開予定である。また、英文によるマニュアルの整備を行うなど、より実用性を高めるための準備も進めた。(3)実用問題への適用の検証開発した固有値解法を、分子シミュレーションであるFMO-MO法、実空間密度汎関数法で現れるバンド計算、量子ドットシミュレーション、線形加速器設計で現れる問題など、各種の大規模実問題に適用し、その性能評価と手法改善を行った。
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JSIAM Letters
巻: 3 ページ: 61-64
情報処理学会ACS論文誌第38号
巻: (採録決定)
Proc.10th International Meeting on High-Performance Computing for Computational Science (VECPAR 2012)
Parallel Computing