研究課題/領域番号 |
21246019
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
古屋 泰文 弘前大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (20133051)
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研究分担者 |
宮永 崇史 弘前大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70209922)
岡崎 禎子 弘前大学, 大学院・理工学研究科, 研究機関研究員 (10003328)
久保田 健 弘前大学, 北日本新エネルギー研究所, 准教授 (70400405)
木村 久道 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (00161571)
峯田 貴 山形大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50374814)
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キーワード | 磁気センサ / マルチフェロイックス材料 / 磁歪合金 / PZT / 磁気・電気効果 / マイクロ磁気センサ |
研究概要 |
本研究の目的は、現在使用されている磁気センサ、ホール素子より高感度が期待される、磁歪と圧電効果の相乗効果(ME効果)を利用した磁気センサの開発と微細加工によるプロットタイプの磁気センサの試作である。 23年度の主な実施計画は、1.22年度の研究成果を基に、Fe-Pd(10,30μm)/PZT(260μm)/Fe-Pd(10,30μm)三層構造のME磁気センサを試作し、ME出力電圧の圧電セラミックス(PZT)特性に対する依存性を調べる。2.基板PZTとスパッタ膜の界面構造をSEM用いて調査する。3.微細加工によるプロットタイプの磁気センサを試作することである。 1については、PZTの電圧出力係数g33を1.8倍にすると、駆動AC磁場0.5~100Hzの低周波領域の、ME出力は約8倍増加し、2.8-5.OmV/Oeのとなり、g33に大きく依存することが判明した。さらに、機械的共振周波数61kHzのME出力は、55mV/Oeとなり、低周波領域のME出力の11倍の高感度を示した。 2については、SEMで観察されたPZTとFe-Pdスパッタ薄膜の界面は、Ag電極膜(約5μm)/PZT上に、[111]方向に配向したFe-Pd層が、柱状の粒径を保ちながら積み重なることが判明した。一方、30μmの厚さをもつFe-Pdリボン材は、膜厚方向に[100]の集合組織の柱状多結晶体であった。この組織の違いは、前者の最適バイヤス磁場は120-150 Oeとブロードであるのに対して,後者は50 Oe一点に決まった。 3については、厚さ10μmのSOIデバイス層のSi上に、酸化膜を介してFe-Pd(4μm)を積層したカンチレバー構造のマイクロ磁気センサを試作した。磁場により、カンチレバーは長さの2乗に比例し変位し、1μmを超える先端変位を得る磁歪型アクチュエータとして十分な特性を得る見通しを得た。また、30Oe程度の磁場印加によりカンチレバー素子の共振特性が大きく変動することが判明し、共振型の採用により磁気センサとしての高感度化を図る見通しを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
磁歪合金Fe-PdとPZTの電気・磁気相互作用に対する最適な条件を見出し、ME磁気センサ試作の基礎研究は、ほぼ終了した。 また、MEMSを用いて、プロットタイプのマイクロ磁気センサの試作に成功し、共振型の採用により磁気センサとしての高感度化を図る見通しを得た。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は、本研究課題である(1)低周波AC磁場をセンシングするFe-Pd/PZT/Fe-Pd三層構造の磁気センサ(大型)の試作と特性評価。(2)PZT圧電薄膜などを積層し、励振および変位検出機能も搭載したMEMS構造化を図り、磁気センサとしての検出特性を検証する。
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