研究概要 |
本研究の目的は粒子を目標物に高速衝突させることにより堆積付着させる成膜法に関して以下の3点を明らかにし,その知見をもとに最適粒子設計および最適噴射条件の選定指針を得ることである.さらには具体的適用例としてアルミニウム箔に緻密炭素膜を成膜するハイブリッド自動車用高効率小型2次電池用電極製造等を取り上げ,実用化を目指す.今年度得られた成果をそれぞれ記す. (1)ノズル出口,並びに衝突基板近傍での固気2相流の流動ダイナミクス 流体解析シミュレーションを用いた流動ダイナミクスの解析を可能とした.その結果,基板近傍における速度の低下が確認された.この速度低下を抑えるため,シミュレーション結果に基づく新たなノズル設計を行った. (2)衝突した直後の粒子と基板の変形,破壊ダイナミクス 有限要素法の一種である平滑粒子法により粒子が基板に衝突する際の変形,破壊をシミュレートした.また実際に噴射実験を行った.その結果,粒子に大きな運動エネルギを与えた場合,基板が破壊された.一方,粒子が持つ運動エネルギが小さい場合,粒子の破壊等の現象は現れなかった.すなわち粒子に与える運動エネルギに最適値が存在することが明らかとなった. (3)衝突後の粒子と基板材料界面での化学反応,状態変化,物質移動等のダイナミクス トライボロジーケミカル反応を利用した複合粒子製造装置を導入し,粒子の表面改質が可能となった.今後,分子動力学により最適条件を選定するとともに,複合粒子製造装置を用いた実験を行う基盤を整えた.
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