研究概要 |
平成21年度は,本研究課題で新たに開発予定の3次元ナノ形状計測システムCompact Nano-Profilerの全体構造および構成要素について構造設計面から詳細な検討を行った.その結果,(a)セラミックス製高剛性構造,(b)運動誤差抑制構造,(c)熱変形抑制構造,(d)ハイブリッドアクチュエータによる長ストローク走査機能,(e)X-Y平面ナノ運動テーブル構造,(f)重力補償鉛直ナノ運動機構を特徴とするCompact Nano-Profilerの構造設計を行うと共に,重要構成要素について基礎研究,要素研究を遂行し,以下の成果を得た. (1)超精密直線運動機構 超精密かつ安定な直線運動を実現するため,多孔質空気軸受により浮上した正方形状セラミックス製運動テーブルを平面運動させる機構,および真空シリンダを用いて重力をバランスさせた重力補償機能を組み込んだ鉛直軸ナノ運動機構について基本設計および一部試作を行った.これらはプローブおよび計測対象を走査する上で重要となる構成要素であり,開発するシステムの中核機能を担当する.なお,本成果の一部は国際会議にて公表した. (2)超精密旋回運動機構 空気圧アクチュエータと電磁アクチュエータによるハイブリッド機構により,偏心負荷支持状態においても1/10000度以下の角度分解能を有する旋回テーブルシステムを開発した.本成果は,開発する計測システムにおいて3次元走査機構を行う上で基本的に重要な構成要素である.なお,本成果の一部は,新聞発表すると共に,国際会議発表,権威ある国際会議のジャーナルに掲載された. (3)安定性の高い計測環境の実現 高精度計測を実現するため,圧縮空気温度調整ユニット,アクティブ微小振動制御システム,ならびに気圧温湿度変換器等を用いて,熱的および力学的に安定した装置環境を整備した. 次年度には,上記の構成要素を統合することで全体システムを構築予定である.
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