研究概要 |
理想的なコンパクト構造を有する三次元ナノ形状計測システムを実現する目的を達成するため,平成22年度は,前年度に詳細な検討を行った構造構成要素を実際に試作し,全体構造を構築した.具体的には,グラナイト製高安定化フレーム構造,運動誤差最小化構造,熱変形最小化構造,ハイブリッドアクチュエータによる長ストロークのプローブ走査機能,完全非接触によるX-Y平面ナノ運動制御テーブル構造,ならびにプローブの鉛直方向のナノ運動を可能とする完全非接触重力補償鉛直ナノ運動機構をそれぞれ試作し,それらをシステムとして統合することにより,以下の成果を得た. (1)超精密XYZ軸ナノ運動機構の構築. 超精密かつ安定な直線運動を実現するため,多孔質空気軸受により浮上した正方形状セラミックス製運動テーブルをXY平面運動させる機構,および真空シリンダを用いて重力をバランスさせた重力補償機能を組み込んだ鉛直軸ナノ運動機構を構築した.これらはプローブおよび計測対象を走査する上で重要となる構成要素である.なお,本成果の一部を国際会議で発表すると共に,日本機械学会の英文ジャーナルにも掲載された. (2)ナノプローブシステムの構築. ボイスコイルモータと圧電素子によるハイブリッド運動機構により,Scanning Tunneling Microscopy (STM),原子間力顕微鏡,ならびに光触針の原理に基づくナノプローブシステムをそれぞれ開発し,上記のナノ運動機構に組み込むことにより,非球面レンズ型や鋼球の極近傍の断面プロフィールをナノメートル分解能で計測可能な三次元ナノ形状計測機能を具備することを確認した.なお,本成果の一部を新聞発表すると共に,国際会議,国内学術講演会で発表し,高い評価を得た.更に,権威ある国際学会年鑑及び日本機械学会の英文ジャーナルにも掲載された.
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