研究概要 |
前年度までに試作した各機能モジュールを統合し,最終的な計測システムとして構築した.また実際に複数の形状の異なる試料の形状を測定し,その結果を既存の計測機による計測結果と比較することでシステムの性能評価を行った.具体的には以下の研究を遂行した. (1)前年度までに試作したコンパクトXY平面ナノ運動テーブル,鉛直方向ナノ位置決めステージ,ならびに高感度プローブシステムを組み合わせ,最適に配置することで計測システムとして力学的および熱的に安定な構造を有するナノプロファイラーを構築した. (2)構築したプロファイラーの基本特性を明らかにするため,システムの各挙動について評価を行った.その結果,XYZ各軸は1nmの高い位置決め分解能を有することを確認した.また,プロービングシステムの評価をおこない,STMプローブは1nm,AFMプローブは10nmの測定分解能を有することを確認した.さらに,長時間にわたる計測安定性の評価を行った結果,5時間における計測偏差が200nmであり,開発システムが高い計測安定性を有することを確認した. (3)構築したプロファイラーの計測特性を評価するため,三次元形状あるいは微細形状を有する試料の計測を行った.STMプローブによる18nmの微小段差標準片の計測結果を既存の白色干渉計と比較した結果,同等の高さが得られることを示した.同標準片の20回の計測における計測結果のばらつきは4nmであり,高い繰返し精度を有することを示した.さらに,直径12.5nmの球面の形状計測結果を触針式形状計測システムと比較した結果,同様の計測結果が得られることを示した,またAFMプローブを用いることで絶縁体であるガラスレンズの計測が可能であることを確認し,幅広い対象の形状計測が可能であることを明らかにした.
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