研究概要 |
本研究課題ではmmオーダでヒト腕/手指のような多自由度系の実現を目指して,本年度にはECFジェットを駆動源とした,ECF人工筋拮抗駆動マイクロアクチュエータ(ECF-MFHA:Micro Flexible Hydraulic Actuator)を提案,試作し,実験とシミュレーションによる特性評価を行った.また,ECF-MFHAの応用としてECFマニピュレータアームの試作を行い,実験により駆動特性を明らかにした. まずECF-MFHAの構成要素であるECFジェットを用いたMcKibben形人工筋のモデルを繊維コードの弾性変形,繊維コードとゴムチューブ間の摩擦,ヒステリシスが無視できる仮定の下に導出を行った.ECF人工筋の試作,実験を通して,印加電圧5kV時に収縮率18%,発生力1.2Nの結果を得て,この実験結果とモデルによるシミュレーション結果の傾向がよく一致することを確認した.次に,ECF-MFHAを構成する2本のECF人工筋の一方が収縮したときに対向する方は同じだけ伸長し,人工筋の差圧はジェット発生器の圧力差に等しいとする仮定の下で,ECF-MFHAのモデル式を導出した.試作したECF-MFHAの実験結果より,5kVから1kVまでのステップ電圧の印加時に,有効径19.5mmの関節において回転角度8.2°を得て,この結果はシミュレーション結果と傾向が一致し,構築したモデルが有効であることを証明した.最後に,ECF-MFHAを2つ用いた2軸マニピュレータの試作,実験を行い,5kVから1kVまでのステップ電圧の印加時に,第1,第2リンクの関節において6.5°,11.1°を得て,BCFマイクロマニピュレータ実現の可能性を確認した.
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