研究概要 |
本研究では,受動歩行の力学的原理に基づき,ヒトに近い高速で高効率な平地歩行を実際のロボットで実現することを目的としている.動力なしでスロープを下り歩くことができる受動歩行機を実験者が適切にアシストすることで,2脚での平地歩行を実現した.このとき,得られた歩容を実験者は的確に把握することができる.ここで,歩行の移動効率を高めることができれば,アシスト力を低減することが可能であり,将来的に小さな関節トルクによって理想的な自律平地歩行が実現できる.本年度は,2脚受動歩行機に上体を付加することでアシスト力が低減され,移動効率が35%程良くなることを実験的に確認した.これは,上体効果に加え,ヒトによる効果的なアシスト力生成によるものと考えられる. 高速城での歩行を実現するには,非常に高速で遊脚の振り抜きを適切に行うことが重要となる,特に,膝関節の運動が重要となる.したがって,走行現象も重要となる.本年度,プリミティブなレベルではあるが,バウンシング・ロッド・ダイナミクスに基づいた2脚受動走行(平均速度7.9[km/h])を実機により実現した.ロッドが斜めに地面に衝突すると,水平方向のエネルギーが上昇方向の力に変換されて,ロッドが回転しながら跳ね上がる現象を応用した走行機構である. 受動歩行の魅力は,環境との相互作用により自然でエネルギー効率の高い歩容を生成することである.本年度は,環境との相互作用の中で,優れた直進安定性を実現した,具体的には,バネ付き外脚フレームを用いることで環鏡適応性を飛躍的に向上させ,13時間45分の連続歩行に成功した(ギネス世界記録^<TM>認定).
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