研究概要 |
本研究では,受動歩行の力学的原理に基づき,ヒトに近い高速で高効率な平地歩行を実際のロボットで実現することを目的としている.受動歩行機を実験者が適切にアシストすることで,2脚での平地歩行を実現した.アシスト力を低減することができれば,同時に移動効率を高めることができ,小さな関節トルクによって自律平地歩行が達成できる. ヒトに近い高速・高効率な平地歩行ロボットを開発する場合,外観もヒトに近づける必要がある.シルエットを極力ヒトに近づけることから,各部の機構にはかなりの制約条件が課せられる.2脚受動歩行機にヒトの筋骨格系を模した受動的な上体機構を取り付け,アシスト歩行実験,数値シミュレーションおよび理論解析から,上体効果によるエネルギー効率の改善,遊脚の振り運動と上体の揺動との関係を明らかにした.また,ヒト足形状の受動足機構を独自開発した.カムとバネを組み合わせて,Roll-over shapeを考慮した非線形なトルク特性を実現し,原理的に膝折れのない歩行を実現した.さらに,外装を施した歩行機の脚の動きはヒト(生物)と見間違えるほどであり,存在感や気配さえ感じる.ヒトの脚(に見えるもの)が,自然な歩行をしている様子は,とても衝撃的で他に類がない. 初年度から継続して,高速な脚運動の実現を目指し,バウンシング・ロッド・ダイナミクスと言うスピードを利用した接地時間の短い高速脚運動について検討を進め,時速10[km]レベルの2脚膝有り走行を実現した.極めてヒトに近い走行フォームを生成している.なお,着地前後において,遊脚下腿部の角度が水平以下では遊脚大腿部の前方振り出しは減速,水平以上の状態では加速され,膝を曲げた状態では着地前後において遊脚下腿部の前方振り出しが加速されることを明らかにした.
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