研究課題/領域番号 |
21246047
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
浪平 隆男 熊本大学, バイオエレクトリクス研究センター, 准教授 (40315289)
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研究分担者 |
高木 浩一 岩手大学, 工学部, 准教授 (00216615)
栃久保 文嘉 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (90244417)
小野 亮 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (90323443)
王 斗艶 熊本大学, 大学院・先導機構, 特任助教 (30508651)
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キーワード | ナノ秒 / パルス / 放電 / ストリーマ / プラズマ / エネルギー効率 |
研究概要 |
「つくる」グループでは、伝送線路方式ナノ秒パルス電源において、時間幅2nsを有するナノ秒パルス電源の開発に成功するとともに、その安定的な動作を確認した。 「はかる」グループでは、パルス幅と様々な活性種密度の関係を調べ、二次ストリーマの後半部で活性種生成効率が急減することを明らかにし、少なくとも30-40ns程度までパルスを短くした方が活性種生成効率が高いことを示した。また、10ns以下の極短パルス放電についてもOHラジカルの計測に着手しており、極短パルスでも活性種計測が可能であることを確認した 「つかう」グループでは、伝送線路方式ナノ秒パルス電源を用いて、N2雰囲気でのNO除去実験を行うことで排気ガス中に含まれるNOの分解に寄与するNラジカル(還元作用)の生成能を評価した。その結果、処理ガス組成をN_2希釈NO(200ppm)にて、ナノ秒パルス放電は、100%のNO除去率を達成し、NOの70%除去におけるそのNO除去エネルギー効率で0.81mol/kWh(24.3g-NO/kWh)と現在研究されている他の放電法と比べて極めて高い値を導出した。また、SOS方式ナノ秒パルス電源を用いて、オゾン生成効率などの酸化能を評価した。その結果、短パルス化により酸化能が増すこと、印加電圧の立ち上がり時間減少でストリーマ進展速度が増加すること、電源と放電リアクタインピーダンスとの関係により、酸化能が変化することなどの知見を得るに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、「ナノ秒パルス放電」を「つくる」、「はかる」、「つかう」の3つの観点より科学的・工学的に探究することで、ナノ秒パルス放電プラズマプロセスの実用化を検討する際の懸案事項となる「信頼性・安定性」、「性能保証」、「将来性」に対する3つの不安を払拭することを目的としているが、現状、ナノ秒パルス電源の安定性は増し、かつ、ナノ秒パルス放電の物理・化学的性質も明らかになり、ナノ秒パルスで放電の酸化・還元能の評価も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
ナノ秒パルス電源の更なる短パルス化、及び、ナノ秒パルス放電シミュレーションコードの計算時間短縮、ナノ秒パルス放電中化学的活性種の計測、ナノ秒パルス放電の酸化・還元能把握を更に高度に進めることで、最終目標の達成は可能と考えられる。
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