研究課題
本研究では、半導体量子ドットを金属導体に埋め込み、高量子効率で光子を外部検出系に取り出すこと、これを使って単一光子光源のオンデマンド動作実現を目指すこと、高効率な単一光子の円偏光と電子スピン間のコヒーレント量子状態変換を目指している。今年度、金属導体に埋め込んだ単一InAs量子ドットから単一光子を発生していることを光子相関測定で確認し、このパルス励起毎に単一光子を発生する条件を用いて、光子の外部取り出し効率の絶対値を見積もる方法を確立し、量子効率8.0%が見積もった。発光波長950nm帯のGaAs上に成長した量子ドットに加え、光ファイバー通信に用いる1300nm,1550nm波長帯のInAs量子ドットを検討したが,密度が1x10^<11>cm^<-2>程度と高く,単一量子ドットを引き出すため100nmと細い円柱構造を作製した。その場合金属に埋め込むと光子の取り出し効率が低くなることが3次元のFDTD計算でもわかった。そこで光子取り出し効率を高める構造として"ナノコーン"構造を提案し、計算例では~50%近くまで光子を取り出せる可能性があることが判ってきた。現在その製作を進めている。単一量子ドットからの単一光子発生の純度として、2次相関関数g^<(2)>(τ=0)が低いことが重要である。昨年、g^<(2)>(τ=0)として0.02というこれまで世界で報告されている最も低いレベルの良好な特性を確認したが、今年度量子ドットを準共鳴励起し、g^<(2)>(τ=0)としてさらに低い値を観測した。具体的な値を見積もる通常の方法は,別の測定から求まる発光寿命を使ってフィットから見積もるが、この従来の理論値よりも低い驚異的な結果を観測している。現在その解析を進めている。さらに金属中に埋め込んだ単一量子ドットと電子-光子相互作用の増強を目指して、連続励起のチューナブルレーザによる評価を進めている。
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