研究課題/領域番号 |
21246049
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐橋 政司 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20361123)
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研究分担者 |
土井 正晶 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10237167)
三宅 耕作 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20374960)
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キーワード | ナノ狭窄構造 / スピン伝導 / スピントランスファートルク / スピンダイナミクス / マイクロ波発振 / ナノ狭窄磁壁 / ナノオキサイド層 / MR変化率 |
研究概要 |
本研究課題では、極薄(~1nm)の酸化物層中に、1~2nmφの強磁性ナノ接点サイズの導電チャネル(金属伝導)を複数個形成した独自考案のNOL(Nano-Oxide Layer)を用いたスピンバルブ薄膜素子(強磁性接点部が安定)を作製し、その接点領域(ナノ狭窄部)に閉じ込められるナノ狭窄磁壁による磁気抵抗を用いた新規なスピントランスファーマイクロ波発振磁性体の開発を行い、実用化検討を可能とするための高出力化についての物理的指針(特に磁気抵抗比と位相同期)を得ることを目的とする。本年度はConducting AFM(原子間力顕微鏡)を用いて、ナノ狭窄磁壁部(導電チャネル)の観察に成功した実績を踏まえて、単一の導電チャネルの抵抗計測のためのConducting AFM用低抵抗(20Ω~2kΩ)電流測定回路を開発し、電流測定回路の解析、実回路の動作確認および抵抗測定精度の検証を行った。また、磁気力顕微鏡(MFM)を用いたナノ狭窄磁壁の直接観察を行い、ナノ狭窄磁壁構造に起因すると考えられる特徴的な磁気構造を直接観察することに成功した。また、本素子において印加方向を膜面内において回転させたマイクロ波発振特性を計測した結果、発振強度はフリー層とリファレンス層の磁化の相対角度が約20°のとき最大で10倍以上の発振強度となり、半値幅は極小を示すことを明らかにした。この結果は今村らによる狭窄磁壁に関するスピントルク発振のシミュレーションの結果と定性的に一致しており、狭窄された磁壁に起因した発振であることが示された。
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