研究課題
本研究では、マルチフェロイック物質を基軸とした酸化物スピントロニクスの実現を目指し、スピネル型フェライトの室温強磁性半導体の物質探索および、それらを用いてのデバイス化を課題とした。具体的には、室温n型磁性半導体であるスピネルスピネル型フェライト薄膜においてRu置換による価数の制御および、p型磁性半導体の創製を目指して、Ti置換Fe_3O_4薄膜の成膜、磁気・電気特性の評価を行い、それらを用いて、完全強磁性pn接合ダイオードを製作した。絶縁体フェリ磁性のスピネルフェライト、CoFe_2O_4,NiFe_2O_4、絶縁体反強磁性であるスピネルフェライトZnFe_2O_4のB-siteをRuで置換したものを成膜を行い、その磁気・電気特性を評価した。いずれの薄膜も4d電子系Ruの置換によって、低抵抗化に成功した。4+のイオンで置換したことにより、電荷補償が起こり、Fe3+の一部をFe2+に変化させ、その間を電子が伝導したものと考えられる。CRFO薄膜については、室温における抵抗率は0.033(x=0.8)~1.09(x=0.2)Ωcmであった。いずれの薄膜も室温で強磁性秩序を実現した。いずれの薄膜の電気伝導機構は、高温においては熱活性型のhopping、低温においてはキャリアが局在し、Variable range hoppingすることがわかった。ホール測定の結果、キャリアはn型であり、室温で異常ホール効果を示し、伝導電子のスピンが室温で偏極していることがわかった。Co_0.5Ru_0.5Fe_2O_4についてDV-Xα法によって、バンド計算を行ったところ、スピンの偏極率が82.5%と計算された。以上により、Ru置換スピネルフェライトは、高スピン偏極率かつ室温でキャリアがスピン偏極する、新たなスピントロニクス材料だと考えられる。
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