研究課題
本研究では、SOI上にSiGeをエピタキシャル成長させて局所的に酸化する手法により歪みSiGe-On-Insulator(SGOI)を形成すると共に、SGOIとの良質な界面特性を有する高誘電率ゲート(High-k)絶縁膜の形成技術を確立し、界面特性の良いSGOI-MOS構造の実現を目指している。H21年度は、(1)絶縁膜/Ge構造形成、(2)SGOI層の欠陥制御の研究を実施し、以下の成果を得ている。(1) Ge-MOS構造として、Ge表面をSiO_2/GeO_2の2層膜でパッシベーションする手法を検討した。GeO_2及びSiO_2膜の役割はそれぞれGe表面のダングリングボンド終端化及びGeO_2中への不純物(水や炭化水素)混入防止にある。この2層パッシベーション膜を大気暴露無しで形成する手法を開発した。この新規な界面層形成手法を用いれば、低い界面準位密度(4×10^<11>cm^<-2>eV^<-1>)のMOS構造が実現できる。更に、2層パッシベーションとHigh-k膜形成技術を組合せれば、酸化膜換算膜厚(EOT)で1.4nm、同一EOTのSiO_2と較べて3桁のゲートリーク電流低減ができる。この独自技術は良質なGe-MOS界面構造形成のための手法として有用であることを実証した。(2) SGOI形成時に発生する積層欠陥に起因する深いアクセプタを低減するため、フォーミングガスアニール(FGA)とAl堆積後アニール(Al-PDA)を検討した。その結果、低Ge濃度領域ではFGAとAl-PDAは共に有効に機能するが、高Ge濃度領域では、FGAは機能しないのに対して、Al-PDAは有効との知見を得た。SGOI中の欠陥を低減する重要なプロセス指針である。更に、Alの代わりにAl_2O_3を用いることにより、欠陥低減効果とAl/SGOI界面反応の防止ができるプロセス技術を確立した。
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