研究の目的 電気光学(EO)ポリマを用いて光変調器を作製し、通信波長1550nmにおけるニオブ酸リチウム(LN)のEO係数30pm/Vの5倍以上の170pm/V及び半波長電圧0.65Vを光変調器デバイス環境下で実現してきた。本研究では、数領域に導波光を閉じ込め可能な多層薄膜スロット導波路をEOポリマに使用し、電極間隔を100nm以下にまで減少することで、半波長電圧数mV駆動のEO変調器及び光スイッチを実現する。 本年度の研究実施計画 多層膜シリコンスロット導波路内部へEOポリマを配置した光導波路の作製 光導波路として便用可能な精度でシリコンを用いて100nm以下の幅のシリコン溝を作製し、その領域にナノオーダ間隔の共平面(coplanar)型電極対を作製する微細加工技術は容易ではない。多層薄膜を使用した場合、EOポリマのポーリングの際も、ポーリング用上部及び下部電極を使用することで、ポーリング電界効率を向上させることができる。そのために基板に対し垂直方向にスロット導波路構造を作製し、多層膜スロット導波路を使用した。シリコン基板上に下部電極を配置し、その上部に下部クラッド、ゾルゲル側面クラッドを作製し、その間にシリコンス薄膜とEOポリマ薄膜を誘電体光導波路構造で共平面方向に閉じ込めると共に垂直方向は微結晶シリコン積層によるスロット導波路構造により、高密度の導波光をEOポリマに閉じ込めるスロット光導波路構造を作製した。デバイス環境下で最適なポーリング条件や材料選定を行い、光変調器による半波長電圧測定を行った。光閉じ込め効率向上と電極間隔減少による低電圧駆動のため、下部クラッド層に低屈折率多孔性ゾルゲルシリカを使用しデバイス作製を実施した。
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