研究概要 |
・LSIのインターコネクト材料としては,コスト負担を軽減するために金の代わりに銅を使用できる技術を開発することに対する要望が強い.一方,生産性を高めるために,接続は加熱せずに常温で行えることが理想である.我々は,先鋭形状のバンプ(突起)電極と開孔をもつ電極を組み合わせ,言わばプラグ$ソケット式の電極構造とすることで機械的かしめ効果を発現させ,実環境下で銅電極どうしの常温接合を可能にする技術を開発した.この技術により,1チップ当たり3万接点を,1接続当たり0.1オーム以下の電気抵抗で接続できる事を示した. ・化合物半導体のように熱的なプロセスには耐えられるが接合時に発生する応力が結晶欠陥を誘発し易い材料とシリコンCMOSを積層接続して新機能を創出する場合,ハンダを使った溶融接続によるマイクロインターコネクトが有効である.先鋭形状のバンプを利用すると,その形態によりハンダを溜め込む効果が発生することを液体シミュレーションにより解析するとともに,実験により検証した. ・フレキシブルな樹脂フィルム上の配線とLSIとを直接インターコネクトできれば,プリンティッドエレクトロニクスの早期実現に大きく貢献できる.先鋭バンプの形態機能性を利用すると,フレキシブル基材として最も有望視されているポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム上にメッキで形成した配線電極に対して,LS工をPENのガラス転移点(155℃)以下で接合できることを実験的に示した. ・三次元回路構成の威力を発揮できる応用例として,スイッチ部分に不揮発のメモリー機能を導入した再構成論理がある.本研究で開発を進めるマイクロインターコネクト技術は低温で接合を実施できるため,有機強誘電体メモリー素子が応用目標の一つに入る.新しい有機強誘電体であるクロコン酸の薄膜化を調査した結果,薄膜でも強誘電性を示すことがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
金の代替としての銅製電極による常温接合技術,ハンダとの溶融接合技術,有機樹脂フィルムとLSIの直接接続,三次元集積回路かを目指した新規機能性材料の調査について,計画どおりの,または計画以上の進展があった.一方,電極形状の物理化学シミュレーションのついては,モデル化までを行うにとどまった.
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