研究課題
本研究の目的は、ネットワークで結合された大規模系を対象とし、その動的挙動を系統的に解析・設計する統一的な理論を構築することである。それを実現するため、一般化周波数変数を有する動的システム表現に基づき、(1)解析手法 (2)設計手法、(3)応用の3つに分けて研究を遂行した。以下、各々に対する研究成果の概要を示す。(1)「解析手法」:①従来得られていた線形系に対する安定条件・ロバスト安定条件を一般的な変動を含む多入出力系に拡張し、基礎理論の枠組みを確立した。②これまで得られた非線形系に対するロバスト安定条件を、各エージェントの消散性と階層間接続の低ランク性に着目することにより、階層化非線形系へ拡張した。③これまで得られた確定的な階層化システムの結果をベースに、接続が確率的に変化する場合について検討し、その確率的安定条件を導出した。(2)「設計手法」:①上位層のグローバルな目的関数と下位層のローカルな目的関数を有する階層化最適制御問題について検討し、望みの階層・分散構造を達する問題のクラスを明らかにした。②非均質なマルチエージェントシステムを対象に、階層間の低ランク接続に基づく逐次的階層制御アルゴリズム方式を提案した。(3)「応用」:②「遺伝子制御ネットワーク解析・制御」に関しては、周期解の存在条件を明らかにするとともに、その存在条件の基でのプロファイル(周波数・振幅・位相)を推測する手法を開発し、生物学的パラメータとの関係を明らかにした。また、ロバスト安定条件にもとづいて、非均質な遺伝子ネットワークの解析を行うとともに、非線形階層化システムに対するロバスト安定条件を遺伝子ネットワークをサブシステムとして持つ細胞ネットワークに適用し、生物学的考察を行った。②マルチエージェントシステムの自律分散・協調制御への適用により、特に協調安定化の条件についての理論的結果を得た。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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