研究概要 |
日本の公共調達の制度改革と整合しつつ国際的に通用する政府開発援助(ODA)事業の調達制度の規則やガイドライン等の立案を見据えて、国際協力機構(JICA)の新体制後の実態について調査研究した。 政府開発援助(ODA)事業の実施機関、すなわち旧JICA,JABIC,世界銀行、アジア開発銀行、ドイツ復興金融公庫等が保有する調達に関するガイドラインを体系的に収集して、調達システムの時系列的変遷を把握した。 技術協力、円借款、無償資金協力の各事業について、日本の国際協力機構(JICA)の新体制移行後の実態を、タイ、ラオス、ベトナム、バングラデシュ、パキスタン等を海外訪問して、当該国の政府関係者、開発援助に関わる研究教育機関、JICA事務所関係者、開発コンサルタント・建設会社等から聞き取り調査した。入札・契約制度、品質保証体制、受け入れ検査システム、および代金支払い方法等、ODA事業の調達制度デザインの骨格となる事柄について、(1)入札手続きにおいて品質(技術)と価格の両者を勘案して開発コンサルタントを選定する総合評価落札方法導入の妥当性(2)調達制度の国内方式と海外方式との著しい相違による弊害の顕在化(3)同一事業案件での日本企業(体)同士の激烈な競争を調整することの是非(4)政治・社会・経済状況が不安定な途上国で開発援助事業活動する日本の民間企業のリスク低減に資する日本国政府による填補のあり方(5)政府開発援助に携わる途上国公務員の著しく低い給与体系とそれを補う家計・生活所得の獲得(汚職)システムへの対応方法等、数多くの有益な知見を得ることができた。 途上国から先進国へ移行しつつある中国、韓国、台湾の大学研究機関および建設会社から関係者を日本(京都)に招聘した研究会に参画して、当該国の建設産業における法制度と品質確保のしくみの歴史的経緯と現状を把握した。
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