日本の公共調達の制度改革と整合しつつ国際的に通用する政府開発援助(ODA)事業の調達制度の規則やガイドライン等の立案を見据えて、国際協力機構(JICA)の新体制後の実態について調査研究した。 技術協力、円借款、無償資金協力の各事業について、タイ、ラオス、ベトナム、バングラデシュ、パキスタン等を海外訪問して、政府・行政機関、JICA事務所、開発コンサルタント・建設会社等から聞き取り調査すると共に、JICA実施案件の入札・契約資料を収集した。入札・契約制度、品質保証体制、受入検査システム、および代金支払い方法等、ODA事業の調達制度デザインの骨格となる事柄、すなわち、(1)入札手続きにおいて品質(技術)と価格の両者を勘案して開発コンサルタントを選定する総合評価落札方法導入の妥当性(2)国内公共工事と海外建設工事とで調達方式が著しく異なることへの対応(3)同一事業案件での日本企業(体)同上の激烈な競争を調整することの是非等に関する数多くの知見を得ることができた。 「戦略」の前提となる日本社会の価値観の動向を、1950年代から2007年までの外交青書、国会議事録、新聞記事、教科書等を照査して、ODA政策の利他性(利己性)の強度の変遷として明らかとした。 政治・社会・経済状況が不安定な途上国で活動する日本の民間企業のリスク低減に資する日本国政府の填補のあり方をデザインするために、ドイツ政府が30年以上前から実践してきた海外へ進出する建設企業を支援するシステム「Hermes」(ハーメス)について詳細に調査研究した。
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