研究課題/領域番号 |
21246069
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岸 利治 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90251339)
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研究分担者 |
蔵重 熱 (財)電力中央研究所, 地球工学研究所, 主任研究員 (20371461)
岡崎 慎一郎 愛媛大学, 理工学研究科, 助教授 (30510507)
吉田 亮 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教 (40548575)
安 台浩 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (20520191)
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キーワード | コンクリート / 耐久性 / 品質 / 透気性 / 竣工検査 |
研究概要 |
実構造物のかぶり品質の実態把握に関する全国調査を連携研究者らと共に継続して実施した。実構造物調査では、表層透気性、表層吸水性、表面から深さ方向の含水率分布、中性化深さの測定を行い、表層品質指標と物質移動抵抗性との相関についての知見の蓄積を進めた。また、一部の構造物では、分析用および室内試験用にコアを採取した。室内試験によるコアの分析では、特に飛沫帯に建設された構造物中への塩化物イオンの浸透状況について分析すると共に、採取したコアを用いた室内浸漬試験を開始した。フライアッシュを用いた遮塩性の高いコンクリートコアの分析結果では、フライアッシュを砂の一部としてセメントの外割置換で大量に添加した場合に塩分の浸透が数年でほぼ停止し、その浸透深さはわずか数センチメートルであることを確認した。また、セメントの一部として内割置換した場合でも約5センチメートル程度の浸透深さであった。現在のコンクリートの塩害に対する耐久性照査においては、塩化物イオンの浸透を拡散係数一定の単純な拡散則のみを用いて予測しているが、コンクリートの遮塩性が高い場合などでは算定結果が実際と乖離し、過度に安全側で不経済な評価となる場合がある。今回の検討により、拡散則では説明できない塩分浸透抑制現象が存在することを示すとともに、そのメカニズムとして液状水浸潤限界に伴った塩分浸透の停滞が生じている可能性があることを指摘した。ある程度部材寸法が大きい場合に生じるブリーディングの影響を検討できる中規模供試体の作成については、準備の都合上平成22年度に延期して実施することとした。
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