研究課題/領域番号 |
21246075
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山田 恭央 筑波大学, システム情報系, 教授 (90111476)
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研究分担者 |
松島 亘志 筑波大学, システム情報系, 准教授 (60251625)
庄司 学 筑波大学, システム情報系, 准教授 (60282836)
境 有紀 筑波大学, システム情報系, 教授 (10235129)
八木 勇治 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (50370713)
山越 隆雄 独立行政法人土木研究所, 土砂管理グループ・火山・土石流チーム, 主任研究員 (10355860)
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キーワード | 斜面災害 / 豪雨 / 地震 / 予測システム / 地盤情報データベース / 粒子法解析 / 建物・道路被害確定 / 斜面被害関数 |
研究概要 |
本年度の研究成果の概要は下記の通りである。 (1)2009年7月の山口県防府市における豪雨による斜面崩壊地域を対象とした調査および解析によって、斜面崩壊危険度評価に及ぼす地質構造の影響、および集水地形評価法についての検討を行った。その結果、斜面崩壊危険予測の精度向上のためには、土中水分量に関連した地質構造および基盤構造の影響を考慮する必要があることが示され、そのような全国規模のデータベースを整備する必要性が示唆された。 (2)浅水方程式ベースの粒子法による土石流解析手法の高度化を行った。特に、土石流流動時の河床掘削に起因する側岸崩壊モデルの導入と、その妥当性の検証を行った。 (3)地震動情報から斜面被害を簡便に評価する被害関数の構築を行った。まず、斜面崩壊が多数発生した2008年岩手・宮城内陸地震を対象に,斜面崩壊と相関をもつ地震動の周期帯の検討を行った結果、0.1-0.5秒の周期帯と相関を持つ傾向があることが分かった.計測震度の対象周期は,0.1-1.0秒程度であることから,斜面崩壊は計測震度とある程度の相関があることが予想され、実際のデータでそれを確認した。これらの結果を基に,計測震度を説明変数とする被害関数を構築し、その有効性を検証した. (4)土木学会・地盤工学会・日本地震工学会・日本地すべり学会合同調査団により示された平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震災害調査報告書を基に,斜面に関わる道路構造物の損傷モードを類型化し,地形,地質の観点からそれらの被災の特徴や損傷モードの分布を分析するとともに,道路被災率の定量化を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本の全国土をカバーする斜面危険度評価支援システムについては、いくつか課題は残っているものの、おおむね予定通り作成できた。斜面崩壊危険度に及ぼす土中水分量の影響に関しては、表層集水地形をベースにした評価手法を提案し、妥当性を検証した。斜面被害、建物被害、道路被害などを簡便に評価する被害関数についても、新たに提案した関数の妥当性をある程度検証できた。以上より、現在までの研究の達成度は、おおむね順調であると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の東日本大震災を踏まえ、本研究課題の方向性にも、新たな軸が必要となってきている。特に、今後発生する可能性のある巨大地震の発生領域と、発生地震動の予測、それによる斜面被害の推定は喫緊の課題であると考えている。このような事情を踏まえ、システムの精度検証と同時に、システムの早期実用化のための課題をクリアすることを優先する。
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