研究課題/領域番号 |
21246076
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
東畑 郁生 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20155500)
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研究分担者 |
内村 太郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (60292885)
山田 卓 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (70451789)
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キーワード | 軟岩 / 物理的風化 / 凍結融解 / S波速度 / 一軸圧縮 / 三軸圧縮 |
研究概要 |
まず、三浦半島の第三紀層から採取した泥岩や砂岩系の軟岩サンプルおよびパキスタンのカシミール地方で2005年の大地震後に不安定化して崩壊し続けている泥岩や石灰岩系の軟岩サンプルを使用して、次に述べる実験を行った。その内容は、冷凍機とオーブンを使用して零下5度Cでの凍結と110度Cでの融解および水浸を繰り返すもので、このプロセスによって軟岩の中で物理的風化過程(亀裂の増加と分解)が進行する。そして、この過程の途中で一軸圧縮試験を繰り返し実施し、S波伝播速度、微小ひずみ時のせん断剛性、そして一軸圧縮強度の変化の相関を調べている。それによると、初期の剛性や強度はさまざまであるものの、S波速度の減少と強度の劣化の度合いは共通である。 次に、上記の実験結果を補強するために、国内の実斜面でS波伝播速度の実測と現場貫入試験によるせん断強度の測定を行った。また別途パキスタンにおいて行った調査の結果も取り込んでいる。これらの研究の成果として、S波速度の現場簡便測定(物理探査)を定期的に行うことにより、実斜面における風化と劣化の進展を検定し、崩壊危険度の増大をモニターできる見通しを得た。この研究項目は次年度も継続する。 第三に、圧力の作用下でサンプルに凍結融解をさせることができる三軸せん断装置を製作した。この装置は外部に冷却装置および加熱装置を持ち、さまざまな温度の流体を三軸圧力室に導入することにより、圧力室内の不凍液の温度を制御し、それによって試験用の軟岩に熱膨張と収縮を起こさせるものである。現在機能試験中であり、第二年度に実験が本格化する。
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