研究分担者 |
小松 利光 九州大学, 工学研究院, 教授 (50091343)
千葉 賢 四日市大学, 環境情報学部, 教授 (90298654)
多田 彰秀 長崎大学, 工学部, 教授 (90144328)
山田 文彦 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (60264280)
大串 浩一郎 佐賀大学, 理工学部, 教授 (00185232)
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研究概要 |
(1)九州農政局が1989年から諌早湾内において測得している底泥環境特性量を整理し,経年変化を調べたところ,潮受け堤防建設後,諫早湾内の底泥環境は次第に悪化していることが明らかとなった.また,諌早湾内に形成された貧酸素水塊は,有明海で卓越する南南西の風と北北東の風の連吹に応答して移動することが明らかとなった.(2)超音波ドップラー流速計を用いた現地観測によって諫早湾潮受け堤防開門後に大きな変化が予想される諌早湾湾口北部と北部有明海の物質輸送について調査研究を実施し,夏季成層期の大潮・小潮時における諌早湾湾口北部の現況の流動パターンを明らかにした.また,開門調査時に比較可能なデータベースを構築した.(3)諫早湾の潮受け堤防開門の影響を把握するために,現地調査で取得されたデータを用いて3次元流動モデルと海底堆積物モデルの構築を進めた.流動モデルにより,筑後川からの栄養塩を多量に含んだ低塩分水が諌早湾に流れ込む状況が再現された.また,海底堆積物モデルにより湾内2地点の堆積物内の物質循環を調べ,底質の地点差を考察した.(4)諌早湾内に発生する赤潮と水質動態との関連を明らかにするため,2009年度に引き続き2010年夏季の約1か月間にわたり諫早湾北部海域で多項目水質計による塩分,水温,溶存酸素濃度(DO濃度)およびクロロフィルa(Chl-a)等の隔日観測を行った.その結果,2009年と同様にシャットネラ赤潮の発生とともに,高い値のChl-aを水表面近傍で計測することができた.さらに,底層に発生する貧酸素水塊の形成に密度成層が強い影響を及ぼしていることを明らかにした.(5)衛星画像データから,諫早湾・調整池両水域の水温,Chl-a濃度を求める高精度の推定式を構築した。また,衛星画像データと現地観測データを組み合わせることで,表層並びに水域内部の物質の動態を詳細に把握することができた.さらに,現地観測データとリモートセンシングを組み合わせることで,お互いの長所を活かした水質モニタリング手法を確立した.(6)諌早湾対岸に位置する白川河口干潟での過去10年間の土砂収支を検討し,潮汐と河川出水の相対的な重要度を検討した
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