研究課題/領域番号 |
21246084
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
古米 弘明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40173546)
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研究分担者 |
片山 浩之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (00302779)
栗栖 太 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (30312979)
鯉渕 幸生 東京大学, 新領域創成科学研究科, 講師 (60349800)
春日 郁郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (20431794)
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キーワード | 合流式下水道 / 雨天時越流水 / 東京湾 / 3次元流動解析 / 流出負荷解析 |
研究概要 |
今年度は、重金属の負荷調査、病原微生物の検出手法の改善、基礎的な流出負荷解析を行った。 CSO由来の重金属負荷として、合流式下水道管渠内堆積物や道路塵埃を主要な起源としてとらえ、XAFS法を用いたZnの存在形態解析を行った。その結果、道路塵埃は炭酸亜鉛が主要な存在形態であったのに対して、管渠内堆積物では硫化亜鉛及び炭酸亜鉛が主要な存在形態であった。このことから、管渠内の嫌気的な堆積過程において、Znの存在形態が変容していることが示唆された。また、CSO汚濁負荷の寄与が高いと推定される神田川において、連続モニタリングを行った。その結果、Zn、Cu、Pbは雨天後に河川水中濃度が数倍に増加する現象が確認された。 病原指標微生物の検出手法の改善については、ウイルス定量時の阻害因子の評価を行った。ウイルス濃縮、RNA抽出、Real-time RT-PCRの各ステップの阻害について、人工核酸を内部標準として用いるなどして解析した。河川水試料を1,300倍程度濃縮した場合、RNA抽出及びReal-time RT-PCRに関わる深刻な検出阻害は見られなかった。一方でウイルス濃縮操作においては降雨後の高SS濃度試料中で顕著なウイルス濃縮回収率の低下が見られた。内部標準人工核酸などを用いることにより、偽陰性の試料の判別が可能となり、より正確な病原微生物のリスク評価が可能になると期待される。 お台場を含む東京湾奥沿岸部における3次元流動解析については、雨天時汚濁負荷項の検討に着手した。神田川と隅田川流域の雨天時越流水由来の汚濁負荷量を異なる降雨に対して推定するための流出負荷解析を行い、各パラメータの検討を行なった。これらの基礎的な検討結果を踏まえ、ポンプ場からの汚濁負荷を降雨パターンごとに変更できるような修正を今後加えていく予定である。
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