研究概要 |
本申請研究では、セメント・コンクリート系建築材料の生産・製造・建設・解体・リサイクルという建設活動において発生する環境負荷を大幅に削減できる要素技術および資源循環システムを構築することを目的として、平成21年度は、実験室レベルで鉄筋コンクリート試験体およびコンクリート試験体を作製し、下記に示す手法について実験を実施した。 部材としての再利用が不可能な構造体コンクリートに関しては、粗破砕後の解体コンクリート塊を対象として、完全リサイクル化技術の確立のために、解体コンクリート塊から製造される低品質の再生骨材を強制炭酸化することで品質向上させる技術とその評価方法を提案した。再生骨材の品質低下の原因となる付着セメント硬化体の物性変化を定量的に把握し最適な改質手法を提案した。また、骨材リサイクルを円滑にするため,新設のコンクリート用骨材に予め材料の分離を念頭に置いた処置を施すことで,高品質な再生骨材を取り出す手法を提案した。骨材改質材として有機系の材料を用いずに粗骨材を分離回収することが可能な骨材表面改質技術の開発を目指し、粗骨材表面の遷移帯部分を高密度のペースト被覆によって改善することによりコンクリートの圧縮強度を確保しつつ、再生骨材回収率を高める手法を構築した。さらに、省エネルギーで簡便に建築物を解体する技術の確立を目的として、誘導加熱を利用してコンクリート中の鉄筋に直接触れることなく鉄筋加熱することにより鉄筋コンクリート部材を解体できる技術を考案し、その解体性能を評価することで、技術のフィージビリティについて検証した。誘導加熱を用いて鉄筋を加熱した場合、鉄筋周辺にひび割れを発生させ、コンクリートと鉄筋との付着を低下させることができるため、鉄筋とコンクリートとを分離解体するための基礎技術として適用可能性があることを確認した。
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