研究分担者 |
田中 剛 神戸大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90243328)
中島 正愛 京都大学, 防災研究所, 教授 (00207771)
林 康裕 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70324704)
佐藤 篤司 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00362319)
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研究概要 |
近年の強震動予測法の発展により観測経験のない地震動の予測が可能となり,従来の設計用地震動にはない特性をもつ多様な巨大地震動が予測されている。これらの地震動に対しても有効な損傷評価,耐震改修技術,新材料や新構法の開発に取り組むことを目標に,鋼構造の主体骨組に必要な柱梁接合部の変形性能向上技術を実験的な検証を踏まえて開発するための研究を実施した。 多様な地震動を受ける建物の地震応答特性 1.予測地震動による建物の応答特性を把握するために,地盤,基礎構造の特性が地震入力と応答特性に及ぼす影響を解析的に調べた。また,従来の設計用地震動と南海・東南海地震,上町断層帯地震の予測地震動を用いて地震応答解析を実施し,層および部材レベルの最大応答からこれらの地震動による要求性能レベルを定量的に把握した。 2.変形性能評価法を構築するための梁端接合部実験 履歴依存型変形性能評価法の枠組みを確立するために必要な変形性能評価曲線の取得を目的とする実験で,鋼構造柱梁接合部の接合形式とその標準となる耐力,施工法を検討し,角形鋼管柱とH形鋼梁による標準試験体を設定した。また,変形性能への影響を評価すべき変数として梁端接合部最大曲げ耐力を取り上げた。塑性率1.2~4.0の範囲で4種類の振幅による一定振幅繰返し載荷実験を実施し,溶接接合部の亀裂進展によって決まる変形能力の限界と塑性率に関する定量的情報を得た。 3.溶接接合部の破壊点応力の有限要素解析と分析 実験による接合部最大耐力と塑性率振幅の相違が亀裂発生点における応力に及ぼす影響を有限要素解析で検証し,実験から得た破壊挙動,変形能力と照査した。その結果,接合部最大耐力の影響は塑性率に依存すること,塑性率2以上の振幅における変形能力の差は亀裂進展速度の振幅依存性に起因することが明かとなり,その定量的な関係を導いた。
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