研究分担者 |
並木 則和 工学院大学, 工学部, 准教授 (40262555)
関口 和彦 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (50312921)
鍵 直樹 国立保健医療科学院, 生活環境研究部, 上席主任研究官 (20345383)
東 賢一 近畿大学, 医学部, 講師 (80469246)
諏訪 好英 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 客員教授 (10416836)
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研究概要 |
最終年度となる本年度では,各担当が昨年度までの課題や問題点を踏まえて,担当する実測および実験,解析等をさらに進めた。まずフィールド測定担当では,NO_xの供給源としてNOおよびNO_2を充填したガスボンベを用い,さらに模擬住宅居室の測定では,紫外線ランプのUV照度を上げるため,直接UV光が室内空気の照射されるようにした。さらに,ISOA(室内二次有機エアロゾル)中の炭素成分としてEC・OC以外に水溶性有機炭素(WSOC)を加えた。実測の結果,総粒子体積濃度の顕著な増加が見られたのは,防虫剤を使用しNO_xを間欠的に供給した場合であった。一方,ISOA中のOCおよびWSOC濃度については,防虫剤および芳香剤の双方で顕著な増加が見られた。 発生評価担当の小型ガスバッグ試験では,純物質を用いたガスバッグ試験においても,防虫剤の主成分であるパラジクロロベンゼンおよび芳香剤の有効成分であるリモネンにおいて,NO_x添加およびUV照射で明らかにISOAの生成が確認された。さらに,パラジクロロベンゼンではUV照射のみでも粒子が生成された。一方,大型ガスバック試験では,VOCの光酸化反応で生成する粒子の組成をAMS(エアロゾル質量分析計)で分析し,UVランプ以外に蛍光灯を照射することでカルボン酸への酸化が進行することがわかった。また,シロキサン蒸気と水蒸気を用いてレーザープリンタからの粒子生成を模擬することを試みた。次に,捕集除去技術担当では,超音波霧化静電除去装置の改良を試みた。 疫学的評価担当では,超微粒子のどのような特性が生体影響に関与するのか,およびSOAの毒性学的知見について調査を行った。挙動予測担当では,ISOAを生成するとされるリモネンとパラジクロロベンゼンのO_3による酸化反応に関する量子化学計算を行った結果,反応経路および反応生成物を予測できることがわかり,昨年度行った生成粒子の自己凝集成長モデルを組み合わせることで,ISOAの挙動予測が可能となる見通しが立った。
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